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2006 年04 月23 日

廃棄物処理ノート(1)

仕事柄、廃棄物、ごみ関係の事件を取り扱うことが多い。廃棄物処理関連の覚書を時折記してみたい。

平成18年2月28日最高裁判決から。
 一般廃棄物の収集運搬業者が汚水槽の一般廃棄物たるし尿を含む汚泥と雑排水槽の産業廃棄物たる汚泥の混合物を一般廃棄物と偽ってし尿処理施設に搬入したところ、その全量につき廃棄物の不法投棄の罪に問われた。それに対して、弁護人は、一般廃棄物たるし尿の部分は不法投棄は成立しないはずだとして争った。

 それに対して、最高裁は、一般廃棄物以外の廃棄物の搬入が許されていないし尿処理施設へ一般廃棄物たるし尿を含む汚泥を搬入するように装い、一般廃棄物たる汚泥と産業廃棄物たる汚泥を混合させた廃棄物を搬入したから、その全量につき不法投棄罪が成立するとした。

 これは、どちらも汚泥としての性状に違いはなく、単にいわば出生の出自が違うだけであるが、一般廃棄物たる汚泥と混合物たる汚泥とは別物という理解であろうか。この最高裁の理屈で行けば、90%がし尿であって、わずか10%の産業廃棄物たる汚泥が混合しただけでも、全量につき不法投棄ということになる。はたしてこの結論が妥当なのだろうか。

 しかし、これを一般廃棄物部分については不法投棄にならないというと、数量の区別が判然としないときは構成要件事実が特定できないとして全量につき無罪ともなりかねない。しかも、混ぜて捨ててもばれてもともとという風潮を生みかねず、それでは混合不法投棄を誘発するからそれを防止しなければならないという政策も分かる。しかし、理屈としてはしっくりこない。

 そういえば、最近の判例時報(1918号)で、BSE対策で対象外牛肉を対象牛肉と偽って不正に補助金を受給したり、業界団体から買い上げを受けた事案につき、補助金の不正受給という補助金適正化法違反は対象外牛肉についてのみ認め、不正買い上げという詐欺は全体につき認めた大阪地裁判決が2件紹介されていた(大阪地裁平17.5.11,同平17.5.27)。

投稿者:ゆかわat 22 :52| ビジネス | コメント(0 )

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